赤ちゃんや乳幼児が病気や怪我をすると心配ですよね。



消化器の病気

母と子

消化器では栄養の消化・吸収を行います

 

消化器は、消化管、肝臓、膵臓、胆嚢などからできています。

 

消化管は口から始まって、食道、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)、大腸、肛門まで、体の中を曲がりくねりながら突き抜けている1本の長い管です。

 

口から取り込んだ食べ物はこの管の中を通り抜けながら、消化液の働きで吸収され、いらないものを肛門から排泄しています。

 

口の中では唾液中の酵素の働きで、デンプンの一部を消化します。

 

胃ではタンパク質と脂肪を多少消化しますが、大部分の食べ物の消化と吸収は、十二指腸以下の小腸でおこなわれます。

 

十二指腸から空腸上部には、胆嚢から出る胆汁と、膵臓から出る膵液が送られてきており、タンパク質、脂肪、デンプンをさらに消化します。

 

多数のブドウ糖がつながってできているデンプンは十二指腸、空腸で二糖類、三糖類などに分解され、小腸の上皮細胞膜の酵素によって、ブドウ糖にまで分解されてから吸収されます。

 

母乳や粉ミルクの中の乳糖(ブドウ糖とガラクトースからできています)を分解する乳糖分解酵素は、赤ちゃんのときは多いのですが、その後成長するにつれ減少します。

 

タンパク質は、小腸上部で部分分解され、小腸上皮細胞膜や細胞内の酵素によってアミノ酸にまで分解されて吸収されますが、新生児や小さい子どもでは腸の働きが未熟なため、一部はタンパク質のまま吸収されて、アレルギーの原因になることがあります。

 

脂肪の消化・吸収には、膵液の酵素と胆汁が重要な働きをするので、胆道閉鎖症や肝臓病では脂肪の吸収が悪くなります。

 

肝臓は、体の代謝の中心となっている臓器です。

 

血液中のブドウ糖が少なくなると、元気がなくなり、ひどくなると意識障害やけいれんが起きます。

 

肝臓は血液中のブドウ糖の濃度を一定の範囲で保つよう働いています。

 

また、タンパク質や脂肪の合成・分解に重要な働きをしています。

 

小腸で養分を吸収された食べ物のかすは、大腸に送られてきます。

 

大腸では水分を吸収して、排泄しやすい硬さの便を作って直腸に溜め、肛門から排泄しています。

 

赤ちゃんのうんちは、回数や硬さなどに個人差があります。

 

毎日数回うんちをする子どももいれば、数日に1回の子もいます。

 

赤ちゃんの機嫌がよく、体重増加も順調なら心配はいりません。

 

赤ちゃんや子どもの消化器はまだまだ未熟です

 

赤ちゃんや子どもの消化器は大人と基本的に同じ機構をもっています。

 

しかし、いろいろな面でまだ未熟なのです。

 

とくに生後3〜4カ月まではデンプンの吸収が悪く、2〜3歳になるまではタンパク質や脂肪を分解する能力が十分ではありません。

 

そのため、乳児期は、消化・吸収されやすい母乳やミルクで、その後は離乳食でだんだん慣らしていくのです。

 

また、赤ちゃんは、鉄欠乏性貧血を起こしやすいので、鉄補給が大切です。

 

生まれた時の体内の鉄貯蔵量は、在胎期間と関係があります。

 

成熟時は生後半年、低出生体重児では生後2〜3カ月で貯蔵量はなくなるといわれています。

 

そのため、離乳食などで鉄を補給することが大切です。

 

1歳未満の赤ちゃんでは、牛乳を育児用ミルクの代用品として与えてはいけません。

 

育児用ミルクには鉄を添加してあるのに比べ、牛乳は鉄含有量も少ないし、吸収も悪いからです。

 

赤ちゃんは鉄欠乏症貧血が続くと、発達が遅れることがわかってきたので、鉄の補給は大切です。

 

吐きっぽいのは何故?

 

赤ちゃんの胃は、大人のように横長ではなく、とっくりを立てたような形をしています。

 

しかも生後3か月までは、胃の入り口の噴門の筋肉が未発達で、締りがよくないため、いったん胃に入ったお乳でも逆流しやすく、よく吐きます。

 

だいたい3カ月頃から、噴門の締りは良くなり始めますが、6カ月頃までは生理的に吐きやすいものです。

 

吐いてもそれ以外に症状がなければ心配はいりません。

 

下痢をしやすいのは何故?

 

赤ちゃんや子どもの胃腸の粘膜は敏感なので、ちょっとしたことでうんちはゆるくなって形にならなくなったり、水のようになります。

 

粘液やツブツブが混じることもあります。

 

ウイルスや細菌で下痢することもありますが、単に離乳食などの食事量が多すぎて消化しきれず、下痢することもあります。

 

うんちがゆるくても、必ずしも病的な下痢とは限りません。

 

また、母乳を飲んでいる赤ちゃんの中には、いつも下痢のようなゆるいうんちをする赤ちゃんもいますが、離乳食を食べ始めると、だんだんうんちも硬くなっていきます。

 

うんちの中に食べたものがそのまま残っていたり、緑色の便が出ることもありますが、元気ならば心配いりません。

 

反対に、嘔吐や発熱がある上に元気がなく、ぐったりしているときはすぐに受診をしてください。

 

とくに下痢とともに吐くときは、脱水症状にならないよう、水分を十分補給しなければなりません。

 

また、多量の血便や真っ黒い便が出た時はすぐに受診してください。

 

下痢をしているとおむつかぶれになりやすいので、おむつは1日に何回でも替えましょう。

 

便秘になりやすいのは何故?

 

便が硬く、排便するのに苦痛を伴ったり、自力で排便できないものを便秘といいます。

 

毎日排便しなくとも便秘ではありません。

 

たとえ3〜4日に1度でも、自力で排便できて、苦しそうでなければ大丈夫です。

 

母乳やミルクの飲む量が少なくて、うんちの材料が不足し、回数が少なくなっていることもあります。

 

それでも、便秘が気になるときは、離乳食の場合はバナナ、かぼちゃ、人参など線維の多いものを与えるといいでしょう。

 

便秘自体はさほど気にしなくてもいいことが多いのですが、困るのは便秘になるとうんちが硬くなって、排便のときに肛門が傷つく場合です。

 

こうした傷が肛門にでき、痛いことがあります。

 

このようなことにならないよう、排便を促してあげる必要があるときは、綿棒浣腸や市販の浣腸を使います。

 

ただし、いつも浣腸をしていると、自分で排便するくせがつきませんので、苦しそうなときだけにしましょう。


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